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不登校の初期で子どもに関わるには:保護者が大切にしたいこと

この記事は、東日本大震災先生のための電子メール相談のコラム記事「学校を嫌がる−初期の場合」をもとに再構成しています。

身体の不調

不登校の最初では、身体の不調を訴えることが少なくありません。小学生で7割、中学生で5割、高校生で2割が身体の不調を訴えます。

この段階で、保護者は原因を追及し過ぎないようにします。ストレスによって身体の不調が起きるときなどでは、本人が仮に不登校になった原因を分かっていても、語れないか、語りたくないか、語ってもどうしようもないと考えていることが多いからです。

あるいは、自分でも身体の不調や学校を嫌に感じることや元気のなさと、不快な体験との繋がりが分からない場合もあります。「わけが分からない」場合もあるのです。

不登校は、学校で何らかの嫌なことがあったために起きて来るものです。ですので、お子さんに「何か嫌なことがなかったのか」を尋ねる必要はあります。しかし、きっと何かがあるはずだと、原因をずっと探り続けるのは、得策ではありません

保護者が子どもに伝えたいこと

保護者であれば、早い段階で、次のことはお子さんに伝えたいと思います。

「何がどうであれ、あなたの味方になりたい。子どものうちは、あなたを守っていきたい」

「どうも学校に行くのが嫌なように思えるし、学校に行けないことと、どこか思い当たるようなことがあれば、それは学校の先生に相談に行かなきゃいけないと思っている」

「何も知らないで先生のお話を聞くだけだと、あなたを守れないかも知れない」

「話したくないことは話さなくても良いけれど、話しても良いと思うことは、今のうちに話してほしい。時間が経つほど、解決が難しくなることもあるものだから」と伝えます。

子どもの感情を受けとめ、本人の見た世界を尊重する

これを受けて、子どもが今回のこころの不調との関連で思い当たることがあり、それを語ることもあります。そのような場合は、お子さんの心情に寄り添って、じっくりと聞くようにします。

少なくとも最初に聞くときには、口を挟まず、否定せず、子どもの見えた世界を全て受け止めます。そのときに感じたことと、考えたことと、何が起きたのかを、じっくりと分け取りながら聞きます。語ることができた勇気に「ありがとう」と感謝する気持ちで子どもの話を聞きます。

語り終わったら、語ったことを受けとめ、認めた上で、そのことを思い出して、「今、何を感じているのか?」「今、どう考えているのか?」を尋ねます。

ただ、以上の話の中で、何が起きたのかについては、大人の目で吟味し、客観的に理解するように努めます。事実関係を確かめるのは、後日に、落ち着いた気持ちで確認するようにします。

その上で、学校の環境に課題が見受けられたり、教師に何らかの手助けが必要だと思われたりするときには、本人が述べたことを教師に伝えることをどのように思うのかを、本人に尋ねます。「学校の先生に伝えてほしいことは何か、伝えてほしくないことは何か」を確認します。

学校側に伝えるときには、本人が伝えてもよいと述べたことについて、子どもが何を語ったのか、子どもがどのように感じ、どのように考えていたのかを正確に分けて伝えます。その上で、保護者自身が、それをどのように考え、どのように感じているのかを伝えます。

しかし、お子さんによっては「先生には何も言う必要がない」と述べるかも知れません。その場合は、お子さん自身は、すでに教師を助ける者にはならないと見切ってしまっているようにも感じられますね。

そのように、子どもから「学校に何も言わないで」と言われても、本当は、どのような教師であるかどうかを見て判断するためにも、子どもの語ったことには話さないことを約束した上で、子どもが学校に行けないことについて、しっかりと学校側に保護者としての相談をします

学校への相談とは別に、そのようになるほどの辛さがお子さんにあることを理解した上で、「学校に行かないとしたら、家庭でどのように過ごしていきたいと思うのか」について話し合い、家庭で安定した日常生活が送れるように考えます

[フリー写真] 森を歩く女の子の後ろ姿

日常生活を大切にする

不登校が継続するようになったら、日常生活を崩さないようにします。不登校を叱責しないようにします。努力が足りないなどと言うことはもっての外です。

身体の不調があれば、医師の診断を仰ぎ、その指示に従います。身体の不調がないようなら、昼間は勉強をさせたり、家事を分担し、一緒に家事をしたり、一緒に遊んだりします。また、外出を勧め、親友がいれば、その交遊を大切にします来客も普段通りに応対するように勧めます。

不登校の初期段階では、とくに対人関係を広げるように生活空間を拡大した方が、不登校問題の解消が早くなります(小林ら,1995)。最新の研究でも、知り合いや仲間と会うように促した方が、不登校行動の改善には効果的であることが確認されています(松添ら,2020)。また、学校のことが気になってくる夜の時間はゆったりと過ごすようにします。

その上で、学校に行っていないこの時間を、どう有意義な時間にするのかを、一緒に考えます。急にそのようには思えないものですが、極端に言えば、次のように考えるように心がけていくのです。それは…

「せっかく学校に行っていないのだから、今しかできないことをしよう」

対人不安や緊張の解消に有効な保護者の肯定的な関わり

ところで、全ての時期を通して、保護者にお勧めしたい関わりがあります。
それは、保護者の「肯定的な関わり」です。

ここで言う保護者の「肯定的な関わり」とは、次のようなものです。

  • 「子どもの僅かな改善認め、喜び、褒める 」
  • 「子どもが感じている不快な感情を言葉で表現する」
  • 「子どもと日常会話をする」
  • 「子どもの好きなこと、得意なことを共有する」 などです。

これらの保護者の「肯定的な関わり」が増えれば増えるほど、子どもの対人不安や緊張が減り、感情の表出を自由に行えるようになっていきます。そして、そのことが最終的に不登校行動の改善に好影響を与えるのです(松添ら,2020)

以上は、NPO法人元気プログラム作成委員会のカウンセリング研修センターを訪れ、不登校や神経症状で学校不適応を示してた50事例を詳細に調べた結果なのです。それらの事例は、最終的に問題が改善したものですが、保護者やスタッフのどの時期のどのような関わりが、どのような心理的な課題の改善に効果的であったのかを解析したものなのです。

これらの保護者の関わりが多くなった場合ほど、子どもの不安・緊張が和らぎ、感情が自由に表現できるようになります。そして、子どもの不安や緊張の緩和や感情の表出が増えると、そのことが、登校行動を増やすのです。

簡単に言えば、不登校の期間では、保護者が、子どもを温かく見て、変化を喜び、こどもの不快な感情表現を言葉で表現するのを手伝い、日常的な会話を楽しみ、子どもの好みの世界を共有するとよいのです。これらのことが、不登校などの適応の問題の解消に好影響を与えていくようなのです。

【文献】
◆小林正幸・田中陽子・神村栄一(1995).不登校事例の改善に関する研究-登校行動改善の規定要因-.カウンセリング研究,第28巻,  pp.131~142.
◆松添万里子・大月 友・早川惠子・小林正幸(2020)子ども・若者の適応障害に対する効果的な支援に関する研究(3)── 適応障害の改善により効果的な支援は何か? ──.東京学芸大学教育実践研究, 第16集,pp. 73-82. www.u-gakugei.ac.jp/~scsc/bulletin/vol16/16_09.pdf

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ABOUT US

cocorocare大学教授・NPO法人元気プログラム作成委員会理事長
NPO法人元気プログラム作成委員会理事長。カウンセリング研修センター学舎ブレイブの運営をしています。大学で教育臨床心理学を教えています。教育相談の面接を35年以上してきました。 公認心理師、臨床心理士、学校心理士、カウンセリング心理士(認定カウンセラー)です。カウンセリング心理士のスーパービジョンの資格もあります。臨床経験ですが、1時間の対面相談だけでも2万時間以上の面接を重ねてきました。 一緒に悩みの解消を考えていくカウンセリングスタイルが基本です。市町や学校単位で不登校を減少させる取り組みも18年ほど取り組んできました。クライエントさんの意志を尊重しつつ、必要とあれば、PTSDの解消にはEMDRを用いたり、アクティブテクニックとして認知行動カウンセリングを用いたりします。