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【不登校とは】不登校は激増中ですが…

激増中の不登校…あまり知られていませんが…

(注)調査対象:国公私立小・中学校(小学校には義務教育前期課程、中学校には義務教育後期課程、高等学校には中等学校後期課程を含む。)

Cocorocareです。そもそも不登校とは何なのでしょうか?

あまり知られていませんが、不登校は2013年度から7年間、右肩上がりで急上昇しています。不登校が急上昇をしたのは、1992年から2002年までの10年間でした。その10年間で出現率で2倍を超えています。とくに顕著なのは中学校の不登校で2.5倍になっていました。今回の上昇は、最近7年間で、出現率にして、中学校で1.5倍、小学校で2.7倍、合わせて1.8倍の増加を示しています。今の上昇傾向は、90年代の激増期とほぼ同じです

2020年の「問題行動・不登校調査」によると、2019年度に不登校が理由で小中学校を30日以上欠席した児童生徒は18万1272人で、過去最多を更新しました。増加は7年連続で、約10万人が90日以上欠席しています。

不登校の定義

この傾向について考える前に、まずは、文部科学省の統計上の「不登校」とは何かを考えたいと思います。

「不登校」の名称が,文部科学省の学校基本調査で公式に用いられるようになったのは,平成11年度(1998年度)からのことです。「長期欠席」の理由別分類の一つとされました。「長期欠席」とは,文部省の学校基本調査で用いられる用語で,一定以上の欠席(年間50日もしくは30日以上の欠席)を示す者を指しています。(注:今は30日以上の欠席者が基準です)

時代を遡ると,長期欠席のデータは、1959年度からあります。当時は年間50日以上の欠席が基準でした。現在の「不登校」に相当する分類としては、1965年度から、今の不登校にあたる「学校ぎらい」の言葉で統計がとられるようになりました。それは「心理的な理由などから登校をきらって長期欠席した者」と定義されていました。なお,「学校ぎらい」以外の長期欠席の理由別の分類は,「病気」「経済的理由」「その他」で、この分類は今も変わりません。そして、平成3年度(1991年度)学校基本調査から,長期欠席の基準が年間30日以上へと改められました。

この調査での「不登校」の定義は,「なんらかの心理的,情緒的,身体的,あるいは社会的要因・背景により,児童生徒が登校しない,あるいはしたくてもできない状況にある者(ただし,「病気」や「経済的理由」による者を除く)」とされました。さらに,不登校に分類するためのガイドラインとして「欠席状態が長期に継続している理由が,学校生活上の影響,あそび,非行,無気力,不安などの情緒的混乱,意図的な拒否及びこれらの複合等であるものとする」と、具体例が明確に示されました。また、平成12年度(2000年度)の調査から「病気による欠席」「その他」の分類に関しても具体的な例が示されています。

不登校が社会的に注目されなくなってきたこと

マスコミが不登校の問題をあまり報道しなくなったのは, 2004年に2003年度の不登校児童・生徒数の減少が報道されてからのことです。不登校問題は,社会問題として注目される機会が少なくなりました。しかしながら,不登校児童生徒は,教育問題や社会問題として認知されるに相応しくないほどに,問題が減少したわけではありません。それはデータで示した通りです。その後に中学校の長期欠席出現率が過去最高を示した年もあったのですが、そのことですら、マスコミで大きく報じられることも、専門雑誌に載ることも少なくなってきました。

この2003年度の不登校数の減少は、実は見かけ上の話でした。2003年度は週休完全2日制が開始された年に当たります。つまり出席日数が年間40日ほど減少したのです。そのために自然減が生じました。実際には減少したのではなく、横ばいであったろうと推計しています。

ところが、図で示したように、その後は、ほぼ横ばいで推移しています。ところが、2015年から小中学校の合計は明らかに上昇傾向になります。そして、出現率は最高値を更新し続けてきました。しかし、不登校このことはマスコミからあまり注目をされませんでした。子どもの心理的な問題や教育問題として広く認知されることが減ったのです。

このことと関連することとして、2017年2月の「教育機会確保法」義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律)の施行が挙げられています。この採決にあたって「児童生徒の意思を十分に尊重して支援が行われるよう配慮すること」「不登校というだけで問題行動であると受け取られないよう配慮すること」などの附帯決議が付されています。これを指して、問題行動と受け取らないようにとされたことが関連付けて言われたりします。

確かに、この考え方が法律として定められたことは、その考え方が広く世間にコンセンサスを得るものになってきたことがあったが関連するとは思います。私も不登校は子ども自身の問題ではないし、悪いことではないと考えますが、教育上の問題であって、大きな社会問題なのは変わりはないはずです。保護の相談から始まる教育相談領域では、「不登校」は1970年代から一貫して主訴の第一位だったのです。一番多くの保護者自身が困り相談したくなる問題であるのは確かなのです。この法律は、子ども自身も困っていますから、その子たちにしっかり教育を受ける機会を与えるように努力せよ…というのが、その趣旨なのです。マスコミが、もしも、「不登校は問題行動ではない」のだから、教育問題でも社会問題でもないと考えているのだとすれば、あまりに狭い考えだと言わざるを得ません。

コロナ禍後で不登校は統計上どうなるのか?

さて、今後、不登校の数値はどのようになっていくのか、また、不登校の質はどう変わっていくのかに触れておきましょう。

2020年、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴って、臨時休校措置が取られました。その結果、授業日数は相当に削られます。従来の指導要録作成の考え方に基づき,今度の臨時休校期間は「授業日数」に含めないと考えられます。文科省(2020)は「学校保健安全法第20 条に基づく臨時休業の措置を行った場合には,授業日数には含まないものとして記録を行う」としています。この他、臨時休校のみならず、今回の感染症に関わって、さまざまな欠席の形態が生まれました。それぞれどの欠席をのように扱うのかについては、文部科学省(文部科学省『新型コロナウイルス感染症に対応した小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における教育活動の実施等に関するQ&A)から方針が出されています。この頁の最後に、その概略をまとめたものがあります

まず、2020年は臨時休校措置が取られましたので、年間の出席日数が1か月程度は減少したと考えられます。例年は200日程度の授業日数の中の30日の欠席以上が「不登校」の定義です。15%程度以上の欠席で不登校になることを意味します。今年はおよそ175日程度の出席日数と思われますので、その15%は26日程度の欠席日数で同じ基準になる計算です。その上、ここに示すように、ウィルス罹患の恐れがある場合や、保護者が地域の感染状況から登校をさせない場合などでは、さまざまな欠席が「出席停止」扱いとなることが考えられます。

このように出席日数が減少する中での年間30日以上の欠席では基準は甘くなります。別の言い方をすれば、約175日の出席日数の場合で30日の欠席が相当するのは、例年で言えば34日欠席の基準ということになります。ですから、週休2日が始まった2003年年と同じように、統計上の不登校は、2020年度は理論的には減らなければおかしいはずです。

ところが、ここでは詳しくは触れませんが、2020年度の子どもに強いストレスがかかっています。このことは、臨床心理学の研究者から報告されています。何とか学校が各学年の教育課程を、少ない授業日数の中で年度内に充足させようとするならば、どうなるでしょうか?学校でのストレスはさらに強まり、子どもに負担をかけることになっているかも知れません。子どもの学校でのストレス因(ストレッサー)の増加が不登校をもたらすことは周知のことだと思います

授業日数が減ったのにも関わらず、2020年の不登校が増えているとすれば、そこから先、数年後の不登校数の増加は目を覆うようなことになるかも知れません。

http://www.toshobunka.co.jp/voice/2020%e5%b9%b4%e5%ba%a6%e3%80%80%e6%8c%87%e5%b0%8e%e8%a6%81%e9%8c%b2%e4%bd%9c%e6%88%90%e3%81%ae%e7%95%99%e6%84%8f%e7%82%b9
図書文化ニュース 2020年6月23日 図書文化の声より

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ABOUT US

cocorocare大学教授・NPO法人元気プログラム作成委員会理事長
NPO法人元気プログラム作成委員会理事長。カウンセリング研修センター学舎ブレイブの運営をしています。大学で教育臨床心理学を教えています。教育相談の面接を35年以上してきました。 公認心理師、臨床心理士、学校心理士、カウンセリング心理士(認定カウンセラー)です。カウンセリング心理士のスーパービジョンの資格もあります。臨床経験ですが、1時間の対面相談だけでも2万時間以上の面接を重ねてきました。 一緒に悩みの解消を考えていくカウンセリングスタイルが基本です。市町や学校単位で不登校を減少させる取り組みも18年ほど取り組んできました。クライエントさんの意志を尊重しつつ、必要とあれば、PTSDの解消にはEMDRを用いたり、アクティブテクニックとして認知行動カウンセリングを用いたりします。