学舎ブレイブの相談・イベントなどのお申込みはこちらをクリック

不登校問題についての基本的な考え方

 <この記事は2014年・・・今から6年前のものですが、古くなった気がしません>

不登校問題の基本的スタンス 大分昔のことで、20年近く前の事です。特定の市の単位で不登校を減らしす取り組みをしているときに、外野からよく言われたことがあります

Q1:不登校は悪いことなのか?
Q2:不登校は減れば良いものなのか?

これへの回答です。こう考えています。

不登校は悪いことではありません。
不登校は減れば良いものです。

不登校に限らず、理由が不分明な欠席、長期欠席は学校教育への不信任投票だと考えています。不登校は、子どもと学校の不登校は、学校と学校の関係が悪くなったので生じると言えます。子どもが学校に合わないから不登校になったのです。それは反対に言うこともできます。学校が子どもに合わないと言っても問題がないでしょう。AさんがBさんに合わないとは、BさんがAさんに合わないと言ってよいのと同じことです。学校が目の前の子どもに合わない教育を行っているので、不登校が生じてくる問題であると考えても良いのです。

たとえば、婚姻は、両性の合意に基づいて、共に人生を歩むことを目指すものです。ですから、夫婦関係が悪いことは、不幸なことです。夫婦関係が悪いのは、夫が妻に合わないことであり、妻が夫に合わないわけです。これを関係の不調と呼びます。夫婦関係が悪いことが少なくなる方が良いに決まっています。でも、離婚は悪いことではありません。離婚は悪いことではありませえんが、減る方が良いのです。

考えても見てください。子どもは教育を受ける権利があります。そして、その教育を受けさせる義務は、保護者や教師、学校の側にあります。これが義務教育です。憲法が明示しているのは、子どもに教育を受けられるように行政側、学校側、保護者の側が努力をすることを求めています。

不登校は学校での不快な体験から始まる

一方、これまでの数万人に及ぶ不登校体験者の予後調査研究で、学校での不快な体験が不登校の契機となるのは、厳然たる事実です。学校での子ども達が追い詰められるのは、学校の友人関係の問題、学業の問題、そして、教師との関係です。そのいずれもが、子どもの人間関係を円滑にすることができない学級経営の問題であり、子どもに教えきることができていない教育の問題だと言えます。

不登校の増加の背景要因

その背後に、子どもに教える内容の問題、評価の問題、さらに受験制度を始めとする教育制度の問題や、社会が求める人材の偏狭さが進んでいる問題、子どもを支える保護者の経済的な問題(相対的貧困化)、さらには、これまでの社会構造の変化で地域が子どもを育てる力が弱くなっている問題、個々人の価値が共有されきれず、価値が多様化してきた時代の変化、家族の変化などなどが色濃く影響を与えているのは確かだと思います。

しかも、学校ができることには限りがあります。教育内容は、指導要領で全国で定められています。それだけに、学校だけの努力でそれを大幅に変化させることはできません。地域の中で、地域の文化の担い手であった学校は、今も、地域のコミュニティを担う重要な一員となるべく努力を続けています。でも、地域の側の結びつきは、経済の進展に伴って極端に弱くなってきています。

子どもが自由に遊べる時間も場所も仲間の結びつきも弱くなりました。集団遊びが全国から消滅していったのは、1970年代半ばからほんの10年ほどです。子ども同士の遊びが子どもの社会性を育てていたのです。そのベースが消えました。そして、今、目の前にいる保護者は、父母はもちろん、祖父母たちも、それ以降の時代に育ってきた世代なのです。子どもは総じて集団で活動することを苦手に感じるようになり、学校での集団での指導にも、工夫が求められています。

そして、教師は忙しくなりました。教えねばならないことだけが指導要領に記載されている以上に増えました。事務仕事に費やす時間も増え、過労死もや精神疾患で休職、退職する教師も珍しくなくなっています。

しかし、不登校の予防は教師にしかできない…

それらの事情を前提として含んだ上で、それでも、学校の現場で奮闘している教師たちにお願いをしたいのです。なぜなら、不登校を始め、学校と子どもが合わない学校不適応の問題を減らすことは、学校の先生でしかできないことだからなのです。スクールカウンセラーやSSWを配置したところで、彼らには以下のことはできません。

学校の先生にしかできないこととは、次のことです。先生は子どもにとっての学級、学校を居心地のよい場にする必要があります、その中で、「学校に来た甲斐があった」「学校で昨日よりも伸びていると実感できた」体験が与えられるような授業の工夫、個別の指導・支援の工夫をしていただきたいと願っています。これが「不登校の問題を未然に防ぐ」ために重要なことになります。

そして、子ども自身の微妙な変調に敏感になっていただき、子どもの人間関係や学業面での躓きなどで予兆を感じ、早い段階からさまざまな支援、指導をしていただきたいのです。これが「問題の早期発見と早期対応」です。これがうまくいけば、不登校に至らず、それどころか、子ども自身がその後に似たような課題を乗り越えていくような力を、子どもに与える絶好の機会にすることもできます。

これらのことは、教室の中で起きていることで、早期発見と早期対応の段階で関われるのは、学校の先生だけなのです。ここでは、不登校の結果に至らないために、教師ができる手筋、構え、姿勢を数多く示していきたいと思います。

これまで、いくつもの学校、いくつかの市で、年間数百事例のコンサルテーションを行いながら、この手筋を探求し、提案してまいりました。3年間で、全市の子 どもの欠席日数を6000日、3分の2まで減少させた市もあります。1年間の準備期間を経て、不登校を1年間の取り組みで半減させた市もありました。これらは、皆、先生方のたゆまぬ努力の成果です。

先生方にも、不幸にして不登校になってしまったお子さんへの関わり方もお伝えしていきますが、これは簡単なことではありません。不登校になってしまった結果、問題をこじらせる悪循環が生じます。どれほど適切に保護者が接しても、不登校の結果どうしても避けがたい悪化、維持要因が、さまざまなレベルで同時に発生します。そのために、一度不登校となると、回復までに時間がかかる場合が少なくありません。

繰り返します。不登校は悪いことではありません。

そして、不登校が減ることは良いことです。子どもと学校の関係が良いことに越したことはないからです。不登校にならないに越したことはありません。不登校の未然防止と早期予防を徹底した学校では、精神障害の重いお子さんにも、医師の許可のもと、しっかり別室で教育支援を行うようにしていました。わが国は、どれほど重い障害があっても、どれほど重い病気であっても、教育を保障する国です。世界のごく早い段階で全員就学を達成した国なのです。学校の中の不登校の子どもの数が減れば、教師一人ひとりが抱える不登校の子どもは減ります。個別支援に回れる教師の数も増えます。それだけ、丁寧な関わりを子どもに行うこともできるはずです。

もちろん、不登校となっても、別に元の学校に戻らねばならないものでもないと思います。また、不登校が継続していても、そのことがその後の人生に悪影響が及ばないのなら、それも良いかも知れません。学業面でも、それ以上に対人関係面でも豊かな人が関わることができて、生活の質が保証され、豊かな育ちが得られ、何よりも「僕はダメだ」とか、「私は役にたっていない」とか考えるようにならず、「私は私でよい」と自分のことを肯定的に考えられる強さを保ち続けることができるのなら、不登校がとくに減らなくてもよいかも知れません

ですが、残念なことに、そのような現状ではありません。補習塾やサポート校などのオプションは昔より増えました。ありがたいことです。しかし、その教育を受けるための教育費を払う余裕がない親御さんもいます。そして、サポート校の調査によれば、私立の高校のほとんどは、中学時代に欠席の多い子どもの入学を正直お断りしたいと考えているのも現実です(このことに関する公的な調査は、弊害があるのでなされていません)。

以上のような理由で、現状である限り、不登校は減った方が良いのです。

【PR】

楽天ブックスは品揃え200万点以上!

シェアしていただければ嬉しいです!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUT US

cocorocare大学教授・NPO法人元気プログラム作成委員会理事長
NPO法人元気プログラム作成委員会理事長。カウンセリング研修センター学舎ブレイブの運営をしています。大学で教育臨床心理学を教えています。教育相談の面接を35年以上してきました。 公認心理師、臨床心理士、学校心理士、カウンセリング心理士(認定カウンセラー)です。カウンセリング心理士のスーパービジョンの資格もあります。臨床経験ですが、1時間の対面相談だけでも2万時間以上の面接を重ねてきました。 一緒に悩みの解消を考えていくカウンセリングスタイルが基本です。市町や学校単位で不登校を減少させる取り組みも18年ほど取り組んできました。クライエントさんの意志を尊重しつつ、必要とあれば、PTSDの解消にはEMDRを用いたり、アクティブテクニックとして認知行動カウンセリングを用いたりします。