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被災直後から小学校の先生ができること(4):出来事を何度も話す/出来事の遊びを繰り返す

「小学校の先生ができること」の記事は、東日本大震災発生時に記載したものです。一連の記事は、子どもに強いストレスがかかった場合の対処方法を年齢段階別に示し たものです。これは、「小学生の子ども」向けの記事「出来事を何度も話す/出来事の遊びを繰り返す」をリライトしたものです。すべての子どもに関わる教育の専門家である小学校の先生向けです。災害時以外でも、生かしていくことができると思います。

たとえば、事故や事件に巻き込まれてしまったとか、大病で急に手術をするようになったような場合で、そのことが起きて数か月以内の関わりです。

この記事は、 「サイコロジカル・ファーストエイド 実施の手引き 第2版」(Psychological First Aid ; PFA) を参考に、支援者である学校の先生に分かりやすい表現にしています。

【状出来事を何度も話す/出来事の遊びを繰り返す

トラウマ的な出来事を味わった直後から、互いにその体験をシェアすることが増えます。大地震など、大きな異変を感じた直後、家を飛び出した人たちは、互いが顔見知りでなくても、片寄せ合ってその恐さを語る姿が見られます。東日本大震災の後数週間してから、始発の出発を待つ間にバスの運転手に「あの日もバスで走っていたんですか?」と話しかけ、会話を交わしたのを、今でも不思議に思い出します。
人は、恐い体験を味わったことを、その後も語りたいのです。

子どもも同じです。辛かった体験を、恐かった体験を、自分が表現しやすい表現方法で、自分のことを分かってもらえそうな人に表現したがる子どもがいます。それは、自分の体験を物語として記憶に収めていこうとする作業をしているのです。

【関わり】

できるだけ話や遊びなどの表現を止めさせないでください。

▶危険でない限り、教育活動の妨げにならない限り、できるだけ表現や遊びを止めさせないでください。

感じていることを話したり、遊びなどの行動で表現したりするのは制止せず、安全を確保した上で表現を許容しましょう。「それは自然なことなのだ」と、伝えて見守ってください。
ただし、その表現が恐い感情のまま終止しないように方向づけましょう。

先生に時間と気持ちの余裕があるときには、

その話を聞いて、あるいは、その遊びを見ていて、感じる先生自身の感情を言葉で表現します。

「先生は、その話を聞いていると(その遊びを見ていると)ーと感じるなぁ」

大事なことは、支援者がどっしりと構えて、いくぶんのんびりとした感じで言うことです。語られる内容よりは、そこで表現されている感情を受け止めることを意識します。

子どもの語る話は、今のお話ではありません。あくまでも過去の出来事のお話です。あるいは、遊びでの表現です。ですから、余裕を持ってのんびりとちょっと芝居がかって受けとめます。

子どもの話や遊びの表現を本心では面白がりながら、そのお話や遊びが伝える内容に即応した先生自身の感情を余裕を持って表現するのです。
つまり、「恐がったふり」「嫌そうなふり」をします。

その際、表現を制止するような感想は慎みます。
差し控えたいのは、「その話は嫌だ」「その遊びは嫌いだ」「それは楽しくない」などの言葉です。

▶子どもの傍らで、子どもが感じていることを言葉で代わりに表現します。

「恐かったね―」「嫌だったね―」「悔しかったね―」「腹が立ったね―」「悲しかったねー」「寂しかったねー」などと、そこで感じていた感情を過去形の言葉で表現します。それは、今、起きていることではないからです。

このようにして感情の共有ができると、 その出来事の記憶にある強い感情が和らげられます。そのことで、不快な感情は収まっていき、恐い記憶が薄れていきます。

お話の終わりをハッピーエンドに

否定的な表現を受け止めた上で

「もっとこうなったらいいな・・・と思うこともお話で聞かせてもらえるかな?」そう語りかけます。

▶遊びやお絵かきを通じて、前向きな姿勢や、問題に立ち向かっていく姿勢を促しましょう。

▶「あなたが出来事の絵をたくさん描いていること、知ってるよ。みんなも同じようなことしてるって、知ってた?」

「もっと安全な学校にするには、どんなふうに建て直したらいいかな。こうだといいなって思うことを、絵に描いてごらんよ」

あるいは、その辛い物語や表現に参画して、別の登場人物を参加させるなどして、ハッピーエンドのお話を作り上げるということもできます。

最後にハッピーエンドになるようにすると、嬉しい記憶は懐かしい記憶になっていき ます。このようにして、子どもは不快な出来事を乗り越えていくことができるのです。

最後に、このように言うこともできます
「いろいろあったね。でも、あなたは、
今、元気でここにいます。ほんとーに、よかったと思うよ。嬉しいな、ここであなたに会えて」

解説:言葉や遊びなどで、出来事を何度も話すのは、自己治療の意味があります。繰り返し話をするのは、その出来事が強い感情に突き動かされたからです。その代表的なものが「トラウマ遊び」と呼ばれるものです。これを私は「自己治癒遊び」と呼んでいます。以下の2つの記事もご参照ください。
被災後のこども|「自己治癒遊び」としての「地震ごっこ・津波ごっこ」(1)
被災後のこども|「自己治癒遊び」としての「地震ごっこ・津波ごっこ」(2)
記憶の中でそれを反芻して、そこで表現したいものは、恐怖であったり、怒りであったり、悲しみであったりします。
楽しいことも同じですが。記憶に印象に残るのは、 これらの強い感情が動いたためなのです。

被災地の子どもたちのこころのケアための「みどりの東北元気キャンプ」。春の小野川湖雪中でイグルーを作り雪の中で一泊してのキャンプです

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ABOUT US

cocorocare大学教授・NPO法人元気プログラム作成委員会理事長
NPO法人元気プログラム作成委員会理事長。カウンセリング研修センター学舎ブレイブの運営をしています。大学で教育臨床心理学を教えています。教育相談の面接を35年以上してきました。 公認心理師、臨床心理士、学校心理士、カウンセリング心理士(認定カウンセラー)です。カウンセリング心理士のスーパービジョンの資格もあります。臨床経験ですが、1時間の対面相談だけでも2万時間以上の面接を重ねてきました。 一緒に悩みの解消を考えていくカウンセリングスタイルが基本です。市町や学校単位で不登校を減少させる取り組みも18年ほど取り組んできました。クライエントさんの意志を尊重しつつ、必要とあれば、PTSDの解消にはEMDRを用いたり、アクティブテクニックとして認知行動カウンセリングを用いたりします。