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被災直後の幼いお子さんの様子に応じた関わり(5):危険なことをする

この記事は、東日本大震災発生時に記載したものです。お子さんに強いストレスがかかった直後の対処方法を年齢段階別に示したもので、このシリーズは、「幼い子ども向け」のものです。災害時以外でも、生かしていくことができると思います。たとえば、事故や事件に巻き込まれてしまったとか、大病で急に手術をするようになったような場合で、そのことが起きて数か月以内の関わりです。

強いストレスがかかった後の幼い子どもで、危険だと分かっていながら、あえて危ういことをするお子さんがいます。トラウマ遊びや自己治癒遊びでも、そのような危ない遊びに発展するときがあります。恐怖を乗り越え、回復しようとする治療の側面もありますが、危険なことは許容できません。そのことへの関わり方で、問題をより悪化させる場合もありまます。関わりが難しく、工夫が求められる瞬間です。

【状態】

かえって危ないことをする。分かっていてあえて危険なことをする

【関わり】

危険な行為は止めるのは当然ですが…どうやめさせるかが問題です。

子どもの安全を守ってください

あわてずに子どもに近づき、必要なら抱きとめてください。
後ろから抱えます。身体全体で包むように抱えます。

身体全体でギューっと抱きしめた後で
「ふわー」っとゆっくりと抱きしめた力を時間をかけて解いていきます。
それを繰り返します。

ほとんどのお子さんは、あっという間に緊張がゆるんでいきます「とけあい動作法」の応用です。

落ち着いたら

「その行為が危険であること」「してはならないこと」を伝えます。

その後で

そのお子さんが大切な存在であること、大人がお子さんの安全を願っていることを、伝えましょう。

「元気なのは本当に嬉しいよ」
「でも、○○ちゃんはとても大切なんだよ」
「危ないことをしたら、悲しいよ。恐いよ」
「〇〇ちゃんは○○ちゃんを大切にしてほしいんだよ」
「私を安心させてくれないかな」

支援者や保護者の関心がお子さんに向くような別の方法を探します

 お子さんと何か一緒に作業をして、たくさん褒めていきましょう。

 このときの褒め言葉は、感謝です。育てたいのは「自己有用感」です。

「ありがとう」
「助かったよ」
「○○ちゃんのおかげで、はかどったよ」
「〇〇ちゃんがいると、うまくいくなぁ」

災害のときの大変だったことを、繰り返し語る

その話に耐えられるなら、そのお子さんの語る世界を否定しません。その「語り」に耳を傾けます。
「そうなの」「そうだったの」と、頷いて聞きます。

その語りの大変な部分や恐い部分にはあまり留まらないようにします。
「今は無事にいる」こと、「今は大丈夫」なことなど
「今」を強調します
「よかったね」と話を終えます

子どもが暴力的な遊びをしているとき

危ない遊びは制止します。
ただ、急激に制止させるのではなく、大人がその遊びに入り込んで、別の安全な表現に切り替え
ていきます

固い棒で何かを叩いて回る ⇒ 棒を新聞紙や風船に代え、チャンバラに
❖固い積み木や机で建物に見立てて積み上げては壊す

              ⇒ 固い積み木を発泡スチロールや段ボールの箱に
                                       など

遊んでいる最中は、子どもの感情に注目し、お子さんの感情や、支援者ご自身の感情を正直に表現するようにします。感情を言葉で豊かに表現ができるように手助けします。

「ドキドキ」した「恐さ」は、「ワクワク」と紙一重です。安全が確保されたら、遊びの楽しさと一緒に、そのときに感じるさまざま感情を一気に表現しましょう。

「うわー恐いね」「ドキドキするなぁ」「大変だねーこれは」「失敗した!くやしいなぁ」「うまくやれるか、心配だなぁ」
 …などです。

遊びが激しいと泣き出す子もいるかも知れません。そのようなときは、そばにいて抱っこしてたり、なだめたりして、お子さんを支えます。

注)災害後には、被災体験を遊びで再演することがあります。それはトラウマ体験を治療していく意味をもたらす遊びです。「トラウマ遊び」や「自己治癒遊び」などと呼ばれますが、この遊びが暴力的なものになることがあります。安全面の配慮は当然ですが、抑えつけることには慎重でなければなりません。(詳しくは「「自己治癒遊び」としての「地震ごっこ・津波ごっこ」(1)」「「自己治癒遊び」としての「地震ごっこ・津波ごっこ」(2)」参照)

激しく動揺する、上の空になる、同じ怖い場面を繰り返す場合

子どもを落ち着かせ、安全であることを伝えます。
落ち着かせるときは、「今は大丈夫」と伝え続けます。
上の空のときには、にっこり微笑んでから名前を呼び、「今、何をしているんだっけ?」「みんなはどこにいるのかな?」などと声をかけて落ち着かせます。(詳しくは「解離の場合」を参照)

このような場合では、専門家への相談を考えてください。

東日本大震災後のみどりの東北元気キャンプ ツリークライミング。地上30mの高さまで登り、高さの恐さへの挑戦。安全を確保した上で、危険を楽しむことが冒険です。冒険への挑戦が被災の体験を癒し、レジリエンスを向上させるのです。

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ABOUT US

cocorocare大学教授・NPO法人元気プログラム作成委員会理事長
NPO法人元気プログラム作成委員会理事長。カウンセリング研修センター学舎ブレイブの運営をしています。大学で教育臨床心理学を教えています。教育相談の面接を35年以上してきました。 公認心理師、臨床心理士、学校心理士、カウンセリング心理士(認定カウンセラー)です。カウンセリング心理士のスーパービジョンの資格もあります。臨床経験ですが、1時間の対面相談だけでも2万時間以上の面接を重ねてきました。 一緒に悩みの解消を考えていくカウンセリングスタイルが基本です。市町や学校単位で不登校を減少させる取り組みも18年ほど取り組んできました。クライエントさんの意志を尊重しつつ、必要とあれば、PTSDの解消にはEMDRを用いたり、アクティブテクニックとして認知行動カウンセリングを用いたりします。