「小学校の先生ができること」の記事は、東日本大震災発生時に記載したものです。一連の記事は、子どもに強いストレスがかかった場合の対処方法を年齢段階別に示し たものです。これは、「小学生の子ども」向けの記事「身体的訴え」をリライトしたものです。すべての子どもに関わる教育の専門家である小学校の先生向けです。災害時以外でも、生かしていくことができると思います。
状態:原因不明の頭痛、腹痛、筋肉痛、発熱など
関わり
▶災害時のようにストレスが強くかかっているときは、訴えのない場合でも、元気がない場合には身体の調子を尋ねましょう。
養護教諭方々による研究では、保健室をよく利用する子どもは、甘え上手で、対人関係面での課題が訴えの割りに少ないことも示されています。身体の症状をあま り訴えないで我慢している場合ほど、ストレス因が大きいことも考えられます。子どもが訴えてくるのを待つのではなく、被災などストレスが強くかかっている ときには、気になる子どもには、とりあえず「身体は元気?」「調子が悪いことない?」などと温かい声を数多くかけることを、担任の先生や支援に当たる方は 意識して行っていただければと思います。
▶まず医学的な理由がないかを調べます。
学校では、養護教諭と連携しながら、身体面に目を向けて支援します。
▶医学的な問題がない場合には、次のように伝えます。
「皆、大変な思いをしているので、身体の調子が悪くなるのは当たり前で、自然なことだよ」
「これは、少しお休みなさいってことなので、向こうで座って休んでいましょうね」
「気分がよくなったら、教えてね。調子が良くなったら、一緒に○○をして遊ぼうね」
身体の不調を示すとき、関わる人(支援者)は、子どもの身体に自然に触ることになります。熱がないか額に手を当てたり、身体で不快感を感じる部分に手を当てるでしょう。身体の気遣いをすること自体が、子どものこころへの適切な気遣いになります。(コロナ禍では手指消毒をして対人的な距離を取らなければなりません)
▶元気が回復してから配慮すること
できるだけ、元気なときに、遊びなどをしているときに、表情の変化から、不快な感情が見えたときに、それを代わって表現するようにしましょう。自分の不快感を表現できないときに、身体に向けてストレスホルモンを発射することが多いからです。
「浮かない顔しているね」「くやしそうだねぇ」「嫌そうな顔に見えるよ」
「心配そうな顔しているね」
「良い顔しているね」「楽しいね。楽しそうな顔見ると嬉しくなるな」
▶身体の調子を過度に心配しないようにします。
こちらが何かの病気なのではないか・・・と、心配し過ぎないようにします。
その不安が、相手に伝わり、かえって症状がひどくなる場合もあります。
【解説】
脳に到達した刺激は、扁桃核に到達した段階で、ストレスホルモンを発射します。その後、大脳基底核から新皮質に向かって進みます。しかし、それを 不快に感じたときに、「感じないようにする」とか、「気を逸らせる」などをすると、その不快感を表情に表わさなくなります。
すると、大脳基底核の部分にブレーキがかかってしまいます。また、その不快感の表情を周囲が受け取って、恐さや不安を受け止めることがないと、表情が消え、感情にブレーキが早くかかります。そのブレーキ版に阻まれて、刺激は扁桃核に戻ってしまいます。
そのために、ストレスホルモンをさらに発射します。ストレスによる身体症状は、このようにして発生していきます。普段から自分の感情を上手に表現できるようになれば、ストレスによる身体症状は抑えられやすくなるのです。
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